この日は自分的3連休の最終日でした。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で緊急事態宣言まで発令され、ようやく感染の拡大が落ち着き、緊急事態宣言は解除。
しかしながらまだまだ東京を中心とした関東圏では感染が「収束」したわけではなく、様々な制約と向き合いながら日常生活を取り戻そうと呼びかけられた6月。
19日までは「県を跨ぐ移動は極力制限してほしい」との呼びかけもあり、都内をはじめ各地でのイベントやライブもまだまだ再開できる状況ではなく。
いい天気だし、家に籠ってばかりはもう飽きてしまったので久々に「旅」に出る計画を立てました。
「県を跨ぐ移動の制限」という知事の要請を遵守し、考えたのが「大回り乗車の旅」。
鉄ヲタの間で「大回り乗車」と呼ばれる鉄道の旅。
これはJRの旅客営業規則をうまく利用した「格安の移動手段」になります。
JR各社の旅客営業規則には以下のような特例があります。
<大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例>
・図のそれぞれの大都市近郊区間内のみを普通乗車券または回数乗車券でご利用になる場合は、実際にご乗車になる経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車することができます。
・重複しない限り乗車経路は自由に選べますが、途中下車はできません。途中で下車される場合は、実際に乗車された区間の運賃と比較して不足している場合はその差額をいただきます。
今回は大都市近郊区間のうち東京近郊区間のみを抜粋しました。この特例、簡単に言えば、
・この地図からはみ出ない
・同じ経路および同じ駅を通らない
・途中下車をしない
という条件を守れば乗車経路は自由に選べるというもの。つまりはどれだけ大回りをしてもいいと言うことです。
ただしそんなに甘い話はありません。乗車経路は自由に選べるとはいえ、途中下車が出来ないので改札を出て街に繰り出す事は出来ません。
出発駅から到着駅まで複数のルートが存在し、利用者も多い大都市近郊区間ではルートの特定・ルート毎の運賃の計算などが煩雑なので、
この特例は合理的なルールと言えるのでしょう。
また、大都市近郊区間相互発着の乗車券は有効期限が1日。片道100km未満の近距離乗車券は元々が有効期限1日ですが、
当然「日帰り旅行」に限定され、始発から終電までに切符に書かれた到着駅にたどり着かなければなりません。
この大都市近郊区間、東京近郊区間の場合はSuicaの普及によってどんどんと拡大されていきました。
我が千葉県では2009年3月にSuicaエリア拡大*1によって千葉県全域のJR線が東京近郊区間に含まれることになりました。
「大回り乗車の旅」は制約は多く、ルートをうまく選ばないと乗車経路の実際のの運賃が発生したり場合によっては不正乗車になったりと、
きちんとルールを理解して行わないと面倒なことになりますが、格安の運賃で長距離を移動し、道中の旅を楽しむ事が出来ることから、
鉄ヲタの間で人気の企画となっているのです。
自分も一度はこんな旅をしてみたいなと思っており、今回はそれを実行してみることにした、というわけです。
今回自分が設定したのは出発駅を木更津駅、到着駅をお隣の君津駅とし、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から「千葉県から出ない」と言うルールを設け、その上で出来るだけ遠くまで行くルートを選定しました。
地図上に描いてみるとこんな感じ。
見づらいですが、黒線で塗ったのが今回のルート。
木更津から内房線で千葉に出て、総武線で西船橋へ。武蔵野線で新松戸に出て、常磐線で我孫子へ。
成田線で成田を経由して松岸を回り、総武本線で成東へ。
東金線で大網に出て、外房線で安房鴨川へ。そして内房線をぐるっと回って君津に戻ってくると言うルートです。
千葉県内から出ない範囲で最長ルート*2と言える379.5kmの長旅ですが、途中下車をしなければ最短ルートの運賃で乗車できるのです♪
10時間以上電車に乗り続けるだけになりそうな旅ですが、コロナの自粛で退屈してる自分にとってはいい気分転換になりそう。
片道切符を握りしめ、旅に出たいと思います。
旅のスタート地点は木更津駅。用意したのは木更津→君津間の片道切符です。
木更津駅7:17発の内房線普通列車千葉行きで「大回り乗車の旅」のスタート!
まずは武蔵野線に乗り換えて新松戸を目指すのですが、通常なら蘇我から京葉線に乗り換えて南船橋から武蔵野線に乗り換えるのがベスト。
しかし調べてみたらこの時間は京葉線・武蔵野線の乗り継ぎがよくなく、総武線経由で西船橋へ出た方がワンチャン早そう。
という訳で総武線経由を選択。蘇我駅で外房線からの総武快速が先に出るので7:53発の総武線快速逗子行きに乗り換えました。
総武快速は西船橋には止まらないので船橋で各駅停車に乗り換え。乗り換え1分をこなせたら西船橋での乗り換えに余裕が出来るので頑張ったら見事成功!
8:18発の総武線各駅停車三鷹行きに飛び乗って西船橋へ。
西船橋から8:29発の武蔵野線府中本町行きに乗り換えます。
ちなみに京葉線ルートで来たらこの1本後の武蔵野線になったので、頑張った甲斐がありました(・∀・)
西船橋から武蔵野線で15分。新松戸へ。ここでまた1分ダッシュかまして常磐線各駅停車に飛び乗る。
そんなに急ぐ旅でもないんですが、我孫子駅で時間を作りたかったので頑張って巻き巻き。8:58に我孫子に到着しました!
ちなみに乗り換え案内の通りに乗り換えたら我孫子到着は9:10。12分巻いたわ(;゚Д゚)
常に綱渡り人生の茶さん。足は遅いけど乗り換えは早いのだ( `ー´)ノ
さて急いで我孫子に来た理由は弥生軒のから揚げそばを食べたかったからw
我孫子駅と言えば有名な立ち食いグルメで、途中下車出来ない今回の「大回り乗車」の楽しみの一つでした。
我孫子駅にはホームが4本あり、弥生軒はホームで3店舗営業しています。
しかしながら新型コロナウイルスの影響でそのうち2店舗は臨時休業。この日営業していたのは常磐線(快速)の下りホームにある6号店のみでした。
その影響か6号店はそこそこ混んでいました(^_^;) あまり混んでる場所には行きたくないですが、ここまで来てから揚げそばを回避するのもいやなので。
早速から揚げそばを2個注文しました。
お腹も満たされたところで旅を続けます。千葉県を出ないように、我孫子から成田線に乗り換えます。
予定では我孫子駅9:47発の電車に乗るとこの先の接続がいいのですが、一本早い9:17発の成田線成田行きに間に合いました。
我孫子からしばらくは住宅街を進みますが、20分ほど走ればのどかな田園風景が見えてきます。
我孫子駅から40分ほどで列車は終点の成田駅に到着しました。
ここからは成田線の下り列車に乗り換えてさらに東を目指します。
成田駅は大きな駅なので改札を出なくても何かしら暇をつぶす店とかはあるだろう…と思っていましたが、カフェも何もない(;゚Д゚)
駅のコンビニNewDaysすら改札の外(;´Д`)
カフェかどこかで時間をつぶそうと早めに移動したのにガッカリ…。外はそこまで暑くなかったのでホームのベンチで待ちました。
列車を待つこと30分。ようやく列車が到着。成田駅10:41発の成田線普通列車銚子行きに乗り込みます。
こんな切符持って成田から銚子行きに乗ってるとか普通に考えたらおかしな話ですが、これもルール上は「合法」なのです(・∀・)
という訳で引き続き成田線に揺られて銚子方面へ。のどかな田園風景が続きます。
時々近づく利根川の築堤。
川の流れこそ見えませんが、水量の一級河川。築堤も大きなものですね。
成田駅を出て1時間10分ほどで列車は松岸駅へ。松岸駅到着の際は総武本線の特急しおさい号とほぼ同時に進入!(゜o゜)
田舎線区なので単線ではありますが、総武本線と成田線の分岐駅ではあるので、同方向に列車が同時進入することは無くはないのですね。
松岸駅からは総武本線の上り列車に乗り換え。
ここが今回の旅で一番遠い地点になるのかな?松岸駅11:58発の総武本線普通列車千葉行きに乗り換えて旅を続けます。
しかし、こんな切符を持って総武本線の上り列車に乗ってるとかなかなかにアレですが、これも規則には反してないのです(・∀・)
松岸駅から総武本線に揺られて47分。列車は成東に到着。
大回り乗車を続けるにはここで東金線経由で外房線に出なければなりません。
成東駅での乗り換えは3分。ここもタイト。成東駅12:48発の(外房線直通)東金線普通列車千葉行きに乗り換えます。0番線がある駅って珍しいよね(*^_^*)
東金線に乗るのは久々でしたが、昔よりも家が増えた印象(゜o゜)
のどかな田園風景は残っていたものの、宅地として開発されつつもあるのだなと思いました。
成東から東金線に揺られること17分。列車は大網駅に到着。
ここからは外房線に乗り換えです。次の外房線は13:37発。30分近い待ち時間。
しかし大網駅も改札内に何もない…(;´・ω・) そろそろお腹減ってきたんですが、食べ物を買う事が出来ず(~_~;)
ボーッと列車を待って、ようやく出発時間。大網駅13:37発の外房線普通列車安房鴨川行きに乗って今度は房総半島を南下します。
乗車の普通列車は途中の茂原駅で特急に抜かれます。急ぐ旅ではないのでそのまま行きましょう。
大網駅を出て50分ほどで列車は浪花駅に到着。ここで上り列車と行き違い。のどかな田舎の駅です。
6両編成で数人しか乗ってない外房線はさらに南下。勝浦から先に行くと間近に海が見えてきます(*^▽^*)
列車は安房小湊駅に到着。新宿わかしお号で使ってる車両が昼休みしてましたw
そして安房天津駅を出発し、
次はいよいよ終点の安房鴨川駅。車窓に鴨川のビーチが見えてきます。
ここからは内房線。乗り換え2分とまたタイト。15:16発の内房線普通列車館山行きに乗り換えます。
和田浦駅前にはシロナガスクジラの骨の標本が目立つ道の駅「和田浦 WA・O!」があります。
が、木が生い茂って標本はうまく写らなかった(^_^;)
ここからは土日だけ運転されている特急新宿さざなみ4号に乗り換えます。
大回り乗車の最中ですが、実際に乗車する区間の特急券を買えば特急列車に乗車することも可能なのです(・∀・)
*3
乗車券の区間と特急券の区間がちぐはぐだけど問題なし(*´з`)
日が落ち始めた内房の風景を堪能しながら北上。
7:17に木更津を出て9時間半・379.5kmに及ぶ長旅はこれにて終了です。
折角だからこの切符は記念にもらっていきましょう♪
これだけ電車を乗り回してもたった200円で済みました。道中で一切改札を出てないので不正乗車じゃないですよ(・∀・)
まぁ、最後に特急乗っちゃったので特急券520円が追加でかかりましたがw
こんな感じで、コロナ禍でいろいろ制限されている中、今許される最大限の旅を考えた結果、今回は「JR線大回り乗車の旅」で千葉県をほぼ一周して来たのでした。
千葉県から一歩も出てないのに端から端まで鉄道で一周したら380km近く移動したとか、改めてみると千葉県は広いっすなw
鉄道ファンや一部の旅好きの間で実行されている「大回り乗車の旅」。
「改札を出られない」「同じルートは通れない」などと条件はありますが、しっかりとルートを選定して条件を守れば初乗り運賃でとんでもなく遠くまで出かけることができて、車窓の風景や駅のグルメ等を堪能することもできるので、旅を満喫することができます。
皆さんもお時間があるときに一度チャレンジしてみてはいかがですか?